今までスタジアムで観た試合でベストゴールを上げろと言われたら
すぐにそのゴールが思い浮かぶ
初めてゴール裏で試合を観た日
後半に1人の選手がセットプレーのこぼれ球を1人で25m独走して運び
そして20m越えのループシュートを決めたのだ
蹴ったボールを見た瞬間「えっ!? ちょっとなにやってんの!?」と思いながら
美しい弧を描いてゴールネットに吸い込まれていった
見知らぬ人とハイタッチしながら「すげーもん見れた」と喜び合った
お互いに握手しながら「お疲れ様でした」と声をかけつつ、勝利の喜びを分かち合った
その試合がきっかけでゴール裏で観るようになった
そんな無茶苦茶なゴールを決めた、ダイナミックなプレーをした男は
あろうことかDFの選手だった
それが松田直樹という男だ
サポーターに愛され、直樹コールの時は他のどの選手よりも声が大きくなる
いつかスパイクを脱いだら、その後はきっとゴール裏で一緒にチャントを歌っているんじゃないかなとか思ったりもした
時間が経つにつれ、彼の死が徐々に重さと辛さを増していく
そしてその事実をまだ受け止められない
記事に目を通すたびに、奥歯を噛み締めて堪えている自分がいる
週末の試合には普通に出場してボール蹴ってるよと思っている自分がいる
ありがとう
あの日のあなたのゴールがあったから、私は今でもゴール裏で試合を楽しめています
松田直樹選手のご冥福をお祈り申し上げます